「いい人材が採れない…」は本当？──“人がいない時代”に陥りがちな思い込み

「最近の若手はすぐ辞める」
「未経験ばかりで戦力にならない」
「昔はもっと優秀な人がいた」

──はい、人事の現場で100回は聞いたセリフです。
でも正直に言うと、それって会社側の“言い訳”になっていませんか？

採用市場は変わりました。魚が減ったんじゃなくて、エサの付け方が古いんです。

「母数が減った」は言い訳

少子化で応募が減った？その通り。
でも、今も応募をしっかり集めている会社はあるんですよね。

つまり「人がいない」のではなく「あなたの会社が選ばれていない」だけ。
街コンで「出会いがない」って嘆きながら、そもそもプロフィール写真を載せてない──そんな状態と同じです。

「3年もたない若者ばかり」と愚痴る声。
でもよく考えてください。彼らが忍耐力ゼロになったんじゃなく、単に“選択肢が増えただけ”。

転職アプリひとつで別の会社が見つかる時代。嫌ならサクッと別を選ぶのは自然な行動です。
だからこそ、辞めるのが早いんじゃなく、“選ぶ自由”が手に入っただけなんですよ。

「未経験は育てられない、経験者だけ欲しい」。
──人事なら一度は言いたくなります。けど、その瞬間に市場は地獄モード。

なぜなら競合もまったく同じことを考えているから。結果、条件勝負になって資金力のある会社が総取り。
「経験者しか無理」って言ってる会社ほど、結局は人が採れずに嘆いています。

「昔は応募が山ほど来た」──はい、その通り。
でも、昭和・平成の採用感覚を令和に持ち込んでも、もう通用しません。

市場が変わったのに売り方が変わってないだけ。
スマホ全盛の時代にガラケーで勝負しているようなものです。

今の時代は“企業が探す”より“候補者が選びたくなる”仕掛けを作る方が強い。
求人票の一文、面接のひとこと、内定後の一週間。全部が候補者への「ラブレター」なんです。

「いい人がいない」のではなく「いい人に選ばれていない」。
この事実を直視できた会社から、採用は変わります。

結局、人がいないんじゃない。人が“選んでくれない”だけ。
ここに気づけないと、永遠に「時代が悪い」と嘆き続けることになります。

採用は数を集めるゲームじゃなく、信頼を積み重ねるコミュニケーション。
少し言葉はきついかもしれませんが、人材市場は待ってくれません。動いた会社から勝ちます。