「やっと内定を出せたのに、候補者から辞退の連絡が来る」──そんな経験はありませんか?
採用の工数や広告費は増える一方なのに、辞退で帳消し。人事担当者にとって最も頭を抱える瞬間のひとつです。
厚労省調査では新卒の内定辞退率は6割を超えるケースも報告されています。中途採用でも「他社からのオファー」「条件への不安」が理由で20%前後が辞退。
でも裏を返せば、企業の取り組みで 半分以上は防げる余地がある のです。
本記事では「今すぐ実践できる」「効果があった」内定辞退防止策を10個、実務手順付きで解説します。
目次
内定辞退が起こる主な原因
- 連絡が遅く不安になる(スピード感不足)
- 「本当に大切にされているのか?」という心理的不安
- 他社との比較で情報が足りず、劣って見える
- 家族や友人に説明できず、周囲から反対される
- 入社後のキャリアや働き方が見えにくい
防止策10選
① 内定通知は“即日+丁寧”に
やること:面接後できるだけ早く連絡。承認フローを短縮する。
効果:スピードは「本気度」の証明。複数社を受けている候補者に優位。
注意点:条件やオファー内容を口頭だけで伝えない。必ず文書化。
② ウェルカムメッセージ+現場から一言
やること:人事だけでなく、現場上司や先輩からもメールや手紙。
効果:「自分は歓迎されている」と感じる。心理的距離が縮まる。
実例:メーカーA社では、配属予定先の先輩からの動画メッセージを送付 → 入社前の不安相談が増え、辞退率20%減少。
③ 内定者懇親会で「同期意識」を醸成
やること:オフラインまたはオンラインで交流会を実施。
効果:仲間がいる安心感。入社を迷った時に「同期と一緒に入ろう」と支えになる。
注意点:形式的な説明会ではNG。社員も混ざってカジュアルに。
④ 月1回のフォロー面談(オンライン可)
やること:人事が15〜30分で近況確認。「困っていること」「不安」を聞く。
効果:不安を抱えたまま辞退…を未然に防ぐ。
実例:IT企業B社では月1回の面談で「親が心配している」という相談を早期把握。 → 家族説明会を実施し、辞退ゼロを実現。
⑤ キャリアパスを見える化
やること:1年後・3年後・5年後の成長イメージを資料化。
効果:長期的に働くイメージを持ちやすい。
注意点:抽象的な「成長できます」では逆効果。実際の先輩のキャリア事例を必ず添える。
⑥ 家族向け説明資料を用意
やること:会社概要・福利厚生・将来性をA4数枚にまとめる。
効果:候補者が「親や配偶者に説明できる」ことで反対が減る。
実例:建設業C社では「家族向けパンフレット」配布 → 内定辞退率が18%から7%に改善。
⑦ 先輩社員のリアルな声を共有
やること:動画インタビューや記事。仕事のやりがいや苦労を語ってもらう。
効果:候補者が「ここでの自分」を想像できる。
注意点:成功体験だけでなく「入社当初の不安→克服」も入れると共感を得やすい。
⑧ 社内イベントに招待
やること:懇親会やオフィスツアーに参加してもらう。
効果:「もう仲間になった」という帰属意識。
実例:飲食業D社では入社前にキックオフ参加を慣例化 → 内定辞退ゼロの年も。
⑨ 内定者専用コミュニティを開設
やること:SlackやLINEグループを作り、情報共有や雑談。
効果:孤立感を減らし、不安をリアルタイムに解消。
注意点:放置しないこと。人事が最低週1回は投稿して盛り上げる。
⑩ 入社準備タスクを徹底サポート
やること:必要書類・引っ越し・備品準備などをチェックリスト化。
効果:小さなストレスが辞退理由になるのを防ぐ。
実例:ベンチャーE社では「入社準備マニュアル」をGoogleドライブで共有 → 辞退率15%改善。
成功事例のまとめ
- 家族向け資料を整備したC社:辞退率18%→7%
- Slackグループを導入したB社:辞退ゼロを実現
- イベント参加を促したD社:入社前からエンゲージメント強化
まとめ
内定辞退は「候補者の気まぐれ」ではなく「企業からのフォロー不足」で起こります。
防止には、 スピード感・歓迎の姿勢・情報提供・心理的安心感 が欠かせません。
10個すべてを一度に導入するのは難しくても、まずは「ウェルカムメッセージ」「月1フォロー面談」から始めてみてください。
その一歩が、採用成功の大きな分岐点になります。

